半導体製造装置用語集(ウェーハプロセス : Wafer Process)

半導体製造装置用語集

ウェーハプロセス (Wafer Process)

1.洗浄・乾燥装置

BARC (Bottom Anti-Reflection Coating)

加工寸法の微細化による露光光の短波長化に伴い、エキシマレーザー用レジストでは、従来のi線、g線に比べて、AlやWSiなどからの反射の影響(定在波効果)が大きくなる。これを低減するために形成するのが反射防止膜(ARC)で、とくにレジスト下層に形成するものをBottom ARCすなわちBARCという。

RCA洗浄

1975年頃にアメリカのラジオ会社であるRCA社のKernらが考案した洗浄レシピを総称してRCA洗浄といい。広く半導体基板の洗浄に適応されている。主に、高温・高濃度の硫酸・過酸化水素水、希フッ酸(室温)、アンモニア水・過酸化水素水、塩酸・過酸化水素水などによる洗浄方法である。

IMECクリーン

IMEC(ベルギーにある半導体プロセスの研究開発を行う産学のコンソーシアム)が開発した洗浄プロセス。

  • 第1工程:SOM(H2SO4 / O3 90℃)+Hot/Cold QDRリンス(60℃/20℃)またはO3 / H2Oにより有機物を除去すると同時に次の第2工程で高いパーティクル除去効果を生むために Chemical Oxide 膜を生成させる。
  • 第2工程:dHF(0.5%)/ dHCl(0.5M)22℃または dHF で前の第1工程で付けた Chemical Oxide 膜を除去すると同時にパーティクルが除去され、金属汚染物が除去できる。さらに安定な水素終端表面が得られる。
  • 第3工程:O3 / dHCl(PH=2)により、金属不純物の再付着を抑制しつつ清浄な Chemical Oxide による保護膜を生成させる目的で、必要に応じて実施される。さらにパーティクル除去のために Megasonic を併用する場合もある。
  • 乾  燥:最後に Marangoni 乾燥でウォーターマークのない清浄な乾燥表面を得る。

ウォータマーク

シリコンが露出したゲート酸化前などのデバイス表面に純水の水滴が残ると、純水へのシリコンの溶解や水滴の境界におけるシリコンの酸化によって生じる SiO2 などの水滴への溶解が発生する。このような水滴が蒸発すると、シリコン水和物がシリコン表面にクレータ状に残留する。これをウォータマークと言い、続くゲート酸化膜などの欠陥を誘発しデバイスの特性を劣化させると言われている。

クロスコンタミネーション

同一装置内の一連の異種プロセス間で、それぞれのプロセスの生成物などが他のプロセス環境を汚染すること。例えば、配線プロセスのCu付ウェーハを処理した洗浄槽においてCuの付いていないウェーハを洗浄するとCu汚染が生じる場合がある。このように同一の装置によって意図しない汚染が発生することをいう。

CVC法

比較的高い蒸気圧を持つ金属錯体を形成させて200~300℃で表面の金属汚染を除去する方法。例えば H+hfac (ヘキサフルオロアセチルアセトン)の蒸気を表面汚染金属原子(Cu, Fe, Ni, Cr)に反応させて揮発性の金属錯体を形成させるとか、SiO2面を汚染した Na をあらかじめプラズマ励起や光励起によって活性化してから HMDS(ヘキサメチルジシラザン)蒸気を反応させると揮発性のヘキサメチルジシラミドを形成させることができる。

室温四工程洗浄

東北大学大見教授の研究グループが開発した新しいシリコンウェーハ洗浄プロセスで、次の四つの工程と乾燥からなる。

  1. 第1工程:オゾン水(5 ppm O3, 炭酸添加 pH4)で有機汚染の除去。一部金属汚染も除去できる。
  2. 第2工程:水素溶解水(1.2~1.6 ppm H2, アンモニア添加 pH 9.3)にメガソニックを使用して微粒子を除去。
  3. 第3工程:FPM 液(0.1~0.5% HF、0.1~0.5% H2O2)で第1工程で取り切れなかった金属汚染を除去すると同時に酸化膜除去も行う。
  4. 第4工程:水素溶解純水(1.6 ppm H2)とメガソニック照射で、FPM 液のリンスと水素終端化の促進を行う。併せて自然酸化膜の抑制を行う。
  5. 乾  燥:0.1%の水素ガスを混合した窒素ガスを、200~250 ℃ に加熱したニッケル触媒に通して水素をラジカル化した後、ウェーハ面にフローして完全に水素終端された乾燥面を得る。

特長として

  1. (a)洗浄ステップの短縮
  2. (b)薬液の種類、使用量の大幅削減
  3. (c)洗浄処理は全て室温
  4. (d)排水処理が容易

SCROD (Single-Wafer Spin Cleaning with Repetitive Use of Ozonized Water and Dilute HF) 法

ソニーによって開発された枚葉式スピン洗浄の技術。オゾン水とdHFをジェットノズルからスピンしているウェーハ面に交互に供給することを繰り返し行う洗浄法である。1回の薬液をかける時間は約10秒で、ウェーハの汚染の程度と目的とする清浄度に応じて、繰り返し回数を適宜設定する。微細なパターンのあるウェーハに適用出来るようにメガソニックは使わない。

スプレーリンス

通常のクイックダンプリンス(QDR)では、純水のスプレーと処理槽の純水レベルの上下を利用して薬液をウェーハから除去する。スプレーリンスは、純水スプレーのみを利用して薬液をウェーハから除去する。スプレーを最適化すると少ない純水使用量でリンス可能である。通常のバッチ洗浄装置に適応する場合に、枚葉洗浄装置やスプレータイプのバッチ洗浄装置と区別して使われる。

ダウンフローリンス

通常は処理槽の底部より純水を供給するが、重力に反して処理槽に導入するため渦などのデッドスペースが生じる。処理槽の上部より均一に純水を供給して処理槽底部より均一に排液すると層流の下降流が形成可能で、この様な純水リンスによれば純水使用量の少ないリンスが可能といわれている。パラレルダウンフローリンスとも呼ばれる。

超臨界CO2

超臨界CO2とは、臨界温度および臨界圧力以上において、液体と気体との中間的な流体の特性が現れた状態のCO2をいう。液体様であるのに粘性が非常に低下し、拡散係数が非常に大きくなり物質を溶解し易くなる。その他の物質も超臨界流体になるが、半導体プロセスでは、主に不活性な超臨界流体CO2を用いた洗浄・乾燥工程が検討されている。

DDC法

欧州のデバイスメーカが発表した新洗浄法。HF処理用の液循環槽(A)と純水供給配管に薬液注入用ミキシングバルブを付けたオーバーフロー洗浄槽(B)との二槽を交互に使って下記のプロセスを室温で行う。
先ず(B)槽でオゾン純水(20ppm)を流しながらウェーハを5分間洗浄して有機汚染を除去する。
(A)槽にウェーハを移して1% HF と1% HCl 混合液で酸化膜を除し、さらに30秒オーバーエッチして金属を除去する。
再び(B)槽に移して純水リンス後オゾン純水(3ppm)で10分間処理する。
1% HF と1% HCl 混合液の循環している(A)槽で酸化膜を除去して付着微粒子の除去を行う。
最後に(B)で0.01%の HCl を添加した純水でリンスした後、同じく0.01% HCl を含むオゾン水で7分間処理してウェーハ面に酸化パッシベーション膜を形成してプロセスを終わる。

低温エアロゾル洗浄

液化炭酸ガスやアルゴンガス、アルゴンガスと窒素の混合ガス、或いは窒素単体ガスをゾル化して洗浄に用いる方法である。氷結粒子を高速で洗浄面に衝突させることで汚れを破砕、剥離して除去する。また洗浄面を低温度に冷却するので融点の比較的高い液状有機物(-30℃程度)を凝固させ、破砕、剥離が可能となる。温度が上がれば氷結粒子はガスに戻るので乾燥の必要がない。アルゴンの場合は液体窒素の熱交換器で506kPa、100Kに冷却した後ノズルから噴射し、断熱膨張によりさらに温度を下げて固体粒子にする。炭酸ガスの場合は液化ガスを二流体ノズルで窒素ガスと混合噴射させればドライアイスの微粒子ができる。これらの固体粒子は氷結条件で硬度が制御でき、洗浄面を傷めないで汚れを除去する微妙な制御ができる。

雰囲気遮断板

枚葉洗浄装置では、ウェーハの回転を利用するためウェーハ近傍に気流が発生する。これに乗って薬液ミストなどがウェーハに再付着する。これを防止するのが雰囲気遮断板である。これによって、例えば乾燥時にウェーハ近傍の雰囲気を不活性ガスで充満させることも可能である。このような用途でウェーハ表面および裏面近傍に設ける円形上の板を雰囲気遮断板という。

POUCG (Point of Use Chemical Generation) 方式

HCl, NH3, HFなどの高純度原料ガスをユースポイントで超純水に溶解して、所定の濃度の高純度、高清浄化学薬液を調製し、洗浄装置へ直接供給する方式。通常の化学薬品のデリバリーシステムで行われる容器への充填、ユーザ工場への製品輸送、ユーザ工場におけるユースポイントへの薬液供給などの過程で起こる雰囲気や容器からのコンタミネーションの機会を排除できる。

Rotagoni乾燥法

300~1000rpmで水平回転しているウェーハの中心部に純水の供給管と IPA 蒸気を含む N2 ガスの吹きだし管とがペアで設けられ、純水用ノズルから純水を流しながら中心から半径方向にゆっくりと移動させると同時に、ガス用ノズルが純水ノズルを追従するように移動しながら薄い IPA 蒸気をウェーハ面に吹き付ける。これにより中心部から水の濡れていないウェーハ面がエッジ方向に拡がっていき全面が乾燥する。すなわち遠心力とマランゴニ効果の作用でウェーハ面上の純水のキャリオーバー層が20秒程度で除去される。スピン乾燥に比べて回転数が低くてよく、ウェーハ上部に高速の乱流が出来ないので雰囲気汚染を受けにくい。また固液界面の表面張力の作用で液中の粒子がウェーハ面に残りにくいと言われる。

2.薄膜形成装置

ALD (Atomic Layer Deposition)

原子層堆積。通常2種類のソースガスを交互に反応室に流し、薄膜の成長を1原子層(または1分子層)ずつ行なう方法。Al2O3膜では TMA(trimethylalminium)とH2Oを交互に流す。

APCVD (Atmospheric Pressure Chemical Vapor Deposition)

常圧気相化学成長。LPCVDに対し大気圧下のCVDで薄膜を成長させる方法。例として酸化膜ではTEOS(tetraethoxysilane)とO3のソースガスを反応させSiO2膜を形成する。

Ba (DPM) 2、 Sr (DPM) 2

Ba、 SrとDPM(bis-dipivaloylmethanato)の化合物。融点は215℃および210℃。

L/L (Load Lock)

ロードロック。反応室にウェーハを導入するためのゲートバルブ付前室を設けて大気の反応室への混入を防止する方法。

LPCVD (Low Pressure Chemical Vapor Deposition)

減圧(または低圧)気相化学成長。形成する薄膜を構成する元素を含む1-数種の化合物ガスや単体ガスを通常10-100Pa程度の減圧下で昇温したウェーハ上に供給し、化学反応により薄膜を成長させる方法。例として窒化膜では SiH2Cl2 と NH3 のソースガスを反応させSi3N4膜を形成する。

LTA (Laser Thermal Annealing)

レーザー光を照射しウェーハの表面を局部的に極短時間熱処理し不純物活性化を行う技術。

LTS (Long Throw Sputter)

遠距離スパッタ。PVD技術の一つであり、基板とターゲット間の距離を、プロセス圧力時の原子/分子の平均自由工程に相当する距離だけ離すことにより、微細ホール内への成膜カバレッジを増加させることを特徴とする。

MOCVD (Metal Organic CVD)

有機金属化合物の熱分解反応を利用して膜形成するCVD法。

PFC (Perfluorocompound)

炭化水素の水素原子をフッ素原子で置換した化合物の総称。熱や化学反応に対して極めて安定で、赤外領域に強い吸収を持つ。したがって、大気に放出されると地球からの放射を吸収し、地球温暖化をもたらす。

RTP (Rapid Thermal Process)

ランプ加熱炉等の高速昇降温装置で行なうアニール・酸化・CVD 等のプロセス。

EM (electro-migration) 耐性

メタル配線の信頼性を評価する基準のひとつ。配線に電流を流すことにより配線を形成している金属粒子が動きやすくなり、最終的には配線が断線してしまうことがある。この断線までの時間を測定し、その長短により配線の信頼性を評価する。

Nanoindentation (超低荷重押込み試験)

微少領域の硬度とヤング率測定を超低荷重の押し込み試験で高精度に行う試験方法。押し込みチップの先端は、通常の押し込み試験と同じく正三角錐のダイヤモンドチップでできている。荷重と押し込み量の関係から、硬度やヤング率が測定される。

エレベートソース/ドレイン

絶縁膜上とシリコン上の成長過程の差を利用してソース/ドレイン領域のみに選択的にシリコン膜を成長させてソース/ドレイン領域を積み上げた構造。

ステロイド曲線

フリー層の磁場方向を反転させるのに必要な磁界をスイッチング磁界と呼び、このスイッチング磁界を測定しプロットしたものをステロイド曲線という。

デュアルドープポリシリコンゲート

CMOS において通常 NMOSではリン(P)を高濃度に含む N+ ポリシリコンをゲート電極に用い PMOS ではボロンを高濃度に含むP+ポリシリコンをゲート電極に用いる構造。

P+ポリシリコン

P 型不純物であるボロン(B)を高濃度に含むポリシリコン。

ミニエンバイロメント (mini-environment)

ウェーハを収納する小さな空間内の雰囲気を清浄にすることにより低コストでウェーハの清浄度を保つもの。規格としてSMIF(Standard Mechanical Interface)-PodTMやFOUPがある。

3.エッチング装置・アッシング装置

BOX (Burried Oxide)

SOI 基板における内部埋め込み酸化膜。

ECR (Electron Cyclotron Resonance)

電場と磁場との相互作用による電子サイクロトロン共鳴を利用して生成される高密度プラズマ。電場 周波数が2.45 GHz のとき ECR 条件を満たす磁場強度は 0.0875 T となる。エッチング装置では厳密 な意味で共鳴現象を生じていない場合が多い。

ICP (Inductively Coupled Plasma)

アンテナにより発生される高周波誘導磁場によりプラズマ中に誘導電界を生成し、これによる電子の 加速によって生成される高密度プラズマ。

LER (Line Edge Roughness)

ライン端荒さ。リソグラフィとエッチングの両方に原因があり、ゲート材料、フォトレジストの構成物、およびエッチングケミストリィのすべてが、線幅の不確定性に関係する。

Scatterometry

光学的計測手段のひとつ。入射角あるいは波長を変えて、散乱されるデータに含まれる情報を解析することにより、CDや断面形状がわかるもの。場所をとらないため装置へのインテグレーションが可能で、スループットが高いことに特長がある。

CD (Critical Dimension) 制御

エッチング前のマスク寸法に対するエッチング後のパターン寸法のシフト量を制御すること。その面内差、疎密差を制御して特性のそろったデバイスを量産する。

ジョンソン - ラーベック力

被吸着体と誘電体との界面の小さなギャップに微少電流が流れ、帯電分極して誘起される力。誘電体の体積固有抵抗値が比較的低抵抗のときに支配的となる。

ストリンガ (Stringer)

下地の段差に沿って残るエッチング残渣で、歩留まりや信頼性に影響する可能性がある。段差部で縦方向の膜厚が厚くなるため、異方性エッチングでオーバーエッチングが不足すると起こりやすい。

電子シェーディング効果

イオンが試料に垂直入射するのに対して、電子はランダムな方向から入射するため、レジストパターンに遮蔽される狭いスペースパターン底部の入射電子量が減少する現象。パターンの無い場合に比べて、レジスト側壁が負に、高アスペクト比パターン底部が正にチャージアップする。

電子シェーディングダメージ

電子シェーディング効果によるプラズマ中の荷電粒子の蓄積によってゲート絶縁膜が静電破壊を起こすこと。

4.イオン注入装置

AAP (Activation Anneal Process)

RTP等によるイオン注入後のアニール。高温RTPと低温RTPを組み合わせてより浅いソース/ドレインイクステンションの形成を行うプロセスが開発されつつある。

Ion Shower

プラズマドーピングと同概念の技術として論じられる場合が多いが、装置コンセプトが異なる。RF又はバケット型の大口径イオン源からシャワー状のイオンビームを引出し、ウェーハにイオン注入する。通常のイオン注入装置と異なり、質量分離装置を持たないためドーパントを含む全てのイオンが注入されることはプラズマドーピングと同じである。この技術は既にTFT(Thin Film Transistor)液晶パネルの製造プロセスとして実用化されている。

LDD (Lightly Doped Drain)

ショートチャネル効果を抑制するためゲート側のドレイン端部にドーパント濃度の低い部分を設けた構造。

PGILD (Projected Gas Immersion Laser Doping)

ウェーハ表面にドーパントガスをフローさせエキシマレーザを照射して光化学反応によりドーパントガス分解すると同時に照射部分を局部的に溶解して、この部分に不純物のドーピングを行う装置。イオン注入と異なり、欠陥の生成が抑制され活性化のためのアニール処理が不要になる。

PIII (Plasma Immersion Ion Implantation)

パルス状のバイアス電圧を印加し、不純物ドーピングを行うプラズマドーピング。

SCE (Short Channel Effect)

MOS トランジスタのチャンネル長現象に伴って生じる、しきい値電圧の低下する現象。ソースドレイン端部が近づくことによりチャンネル領域にかかるゲート電解が低下し、しきい値電圧が低下する。

SDS (Safe Delivery Source)

ガス容器内に充填した多孔質吸着剤に目的とするガス種、例えば、AsH3, BF3 等を吸着させたガス供給容器。高濃度のガスを真空排気によって取り出すことができ、高いビーム電流が得られる、ガスが大気圧以下の圧力で吸着しているため、仮に、容器元弁を開放してもガス漏洩拡散の危険性が少ない、等の特徴を持つ。

SSR (Super Steep Retrograde) Channel Profile

トランジスタのチャネル領域において深い部分に高いピークドーパント濃度をもち表面濃度が低い急峻な不純物プロファイル。

TED (Transient Enhanced Diffusion)

イオン注入後のアニールの初期段階において認められる通常より拡散速度の速い不純物拡散。

エキシマレーザドーピング (Excimar Laser Doping)

PGILD と同じ。

気相ドーピング (RTVD: Room Temperature Vapor Deposition, RVD: Rapid Vapor-phase Doping)

ウェーハを一定時間ドーパントガスに暴露した後、ガスの供給を停止し、その後RTPの処理を行うと、ウェーハ表面に吸着したガス分子を拡散源としてドーピングが行われる。通常の熱拡散が高ドーズの拡散用であるのに対して、吸着量が少ないので低ドーズの浅い接合を形成することが可能。

固相拡散 (Solid Phase Diffusion)

現在の LSI 製造工程では不純物拡散はほぼ全て熱拡散がイオン注入に置き換わっている。しかし、デバイスの縮小とともに一部の工程ではイオン注入による浅接合形成に限界が見えてきていることから熱拡散技術の見直しが行われている。即ち、拡散領域をポリシリコン層等でカバーし、そこにイオン注入した後、doped layer を拡散源として RTP により拡散する固相拡散法である。これにより従来の電気炉固相拡散法の欠点であったドーパント濃度の絶対値の精度および深さ方向分布精度を改善することが出来る。

固相プラズマドーピング (Solid Source Plasma doping)

ドーパントガスの替わりにドーパントを含む固体スパッタターゲットをアルゴンガスでスパッタし、ドーパントを含むアルゴンガスプラズマを形成するタイプのプラズマドーピング装置。適当なドーピングガスが得られない不純物の場合に有効。

スパイクアニール (Spike Anneal)

極短時間の急速加熱処理。昇温速度-降温速度の例としては300℃/s ~ 100℃/s が報告されている。

単一イオン注入 (SII: Single Ion Implantation)

従来のイオン注入はシャワー状のイオンビームをウェーハに照射し不純物をドーピングするため、ドーズの精度はビーム電流の計測精度等で制限され、たかだか0.1%程度である。デバイスプロセスの進展に伴いドーズ精度の向上が求められるが、その究極の姿がイオンを1個ずつ計測しながら注入する単一イオン注入である。

Halo注入

MOSトランジスタのイクステンション部を取り囲むように作られた、ウェル又は基板より不純物濃度の高い領域形成のための注入。ウェーハを傾けた大チルト角注入により行う。後出のPocket注入と機能は同等だが、生産プロセスとしてメリットがある。

プラズマドーピング (Plasma doping)

ドープする不純物原子を含んだガスを用いてプラズマを発生させ、プラズマ中に置いたウェーハにマイナスのバイアス電圧をかけて不純物をドーピングするプロセス。ドーパントイオン以外のイオンが混入することによるデバイス特性、品質管理上の問題点が指摘される一方、通常のイオン注入に比較して注入起因の欠陥の低減、アニール温度の低温化など利点もある。

Pocket注入

MOS トランジスタのイクステンション部の下に作られた、ウェル又は基板より不純物濃度の高い領域形成のための注入。ゲート電極の厚さをチャンネル領域で厚く、ポケット注入領域で薄くして注入することにより形成する。

5.CMP装置

EPD

エンドポイント検出(終点検出)。CMPプロセスで、ポリシング中に研磨量が目標とする値に達したことをまたは近づいたことを自動で検出すること。

均一性

ポリシングのばらつきを表す度合いで、研磨レートの最大値と最小値の差または平均自乗誤差(標偏差)を研磨レートで除して表す。均一性には、同一条件下で異なる研磨ヘッドでポリシングしたときのヘッド間均一性などがある。

研磨レート

研磨速度のことで、ポリシング処理前後の膜厚の差である研磨量を、その研磨量を得るに要した研磨時間で除して表す。

シンニング

CMP プロセスで、理想的研磨面を越えてポリシングされ全体の膜が薄くなること。

スクラッチ

CMP プロセスで、ウェーハをポリシングしたときに生じるウェーハ表面の傷。

スラッジ

スラリー廃液の沈殿物。

選択比

CMP プロセスにおいて、同一スラリーで異なる材料をポリシングしたときのそれら研磨レートの比率 A 、Bの材料の研磨レートがa、bとすると、A基準の選択比は、1:b/aで表す。

ダマシン

CMPプロセスの研磨対象である半導体デバイスの配線形成手法の一つ。層間絶縁膜側をエッチングによって金属配線の溝加工を施した後、その中にCu等の金属を堆積させ、表面の余分な金属をCMPにより除去・平坦化する手法。微細な金属配線用薄膜の加工が不要となり、歩留まりの向上が可能となる。

ドレッシング

CMP プロセスで、パッドの表面を最適状態に初期化し、その状態を維持すること。

Prestonの式

CMPにおいて、研磨速度と接触圧力、ウェーハとパッドの相対速度の関係式。

平坦性

段差緩和性(Step Height Reduction Ratio)とも称され、ポリシング前後の段差の差をポリシング前の段差で除した平坦度(SHR:Step Height Ratio)で表す。平坦性は領域の基準値以上における平坦性であるグローバル平坦性(Global)と基準値以下のローカル平坦性(Local Planarization)がある。領域の一般的な基準値は10μmである。

6.Cuめっき装置

アノード

電解めっき装置においてめっき浴に電界をかけるための電極(陽極)である。

OBIRCH法

レーザーにより与えられた熱で導体中に発生する抵抗変動を検出する欠陥検査方法。この手法により、100nmレベルの微細Cu配線中の欠陥が検出可能となった。

バリアメタル

電解めっき工程を行うために必要な電極およびCuイオンの拡散を防止する目的として成膜するTaNなどの金属。

ハンプフリーめっき

めっき層の段差を最小・緩和とするためのめっき方法。この技術により、めっき工程後に行われるCMP工程での不良率を低減する。

ブラックフィルムコントロール

ブラックフィルムとは、Cuアノードに生成されるCuの酸化膜であり、この膜の剥げ落ちを防止する、または定期的に除去する技術。

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