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株式会社アドバンテスト
(2024.5)
テクノロジー開発本部 テクノロジー統括部 第11開発部 TFC課 矢口 楓子
アドバンテストについて
アドバンテストは、電子計測技術を活用して、半導体を中心とした産業界のさまざまな課題を解決する企業です。1954年の創業当初は、電圧電流計や周波数カウンタを開発・製造し、その後日本のエレクトロニクス産業とともに成長しました。1970年代には本格的に半導体分野に参入し、現在は半導体試験装置=半導体テスト・システムが主力製品となっています。半導体テスト・システムは、機器から半導体にテスト信号を入力し、半導体からの応答信号をチェックし、良品か不良品か、あるいはスペックを判定します。世界各地の半導体企業で、設計評価、製造プロセス評価、量産品の検査に用いられ、製品をいち早く世に送り出したいという顧客の課題解決を支援しています。業界No.1の製品ポートフォリオや優良顧客基盤、総合提案力とグローバルサポート能力を強みとし、"先端技術を先端で支える" 世界シェアトップ企業です。
AI/人工知能をはじめ、スマートフォンの高性能化や自動車の電動化など、現代社会における科学技術の進化の多くは半導体が担っています。半導体はナノメートルの微細な構造で作られるため、回路の断線やショート、電圧やタイミングのばらつきなどが生じやすく、不具合なく全量作ることは極めて困難です。アドバンテストのテスト・システムは、数百個の半導体を同時にテストできるほか、さらに先端半導体の複雑な回路を効率良くテストする機能を備えています。半導体テストを通じて、さまざまな機器に搭載された半導体が安全に動作し、人々の暮らしに安心と心地よさを提供することに貢献しています。今回はアドバンテストの最前線で奮闘する若手社員の一人である私が、ホットなテスト技術開発の現場を紹介します。

半導体業界、アドバンテストに入ったきっかけ
私は大学・大学院で電気電子工学を専攻し、研究室では新規半導体材料について研究していました。正直に言うと、「○○について研究したい」という強い希望はなかったため、教授の人柄や学会参加実績を見て研究室を選びました。しかし結果的には、研究や学会での経験を通して、半導体の必要性や将来性について学ぶことができました。この経験を生かしたいと思い、就職活動では半導体業界を中心に企業を探していました。アドバンテストを知ったきっかけはインターンシップでした。どこのインターンシップに参加しようか、業界・日程・場所などの条件を絞って探している際に見つけたのがアドバンテストでした。運よく選考を通過し、群馬R&Dセンタにて実施された5日間のインターンシップに参加しました。そこで、半導体テスト・システムの役割や需要、同業界でのアドバンテストのシェアが世界トップであることを知り、とても魅力的に感じました。また、お話しした社員の方々や、見学させていただいた社内の雰囲気が、自分に合っていると感じ、入社を希望するようになりました。さらに、福利厚生が充実している点も決め手になりました。実際に入社して、有休が取りやすかったり、身近に育休取得者が男女問わずいたりと、働きやすさを実感しています。

業務内容、社会人生活
私が所属している部署は、半導体テスト・システムのキャリブレーション・プログラムや出荷検査用データ取得プログラムの開発などを担当しています。キャリブレーションとは、テストの信頼性および精度を向上させるために、システムの構成回路のタイミングを微調整することです。半導体デバイスを正しく測定するためには、ナノ秒・ピコ秒単位の調整が求められます。キャリブレーション・プログラムの開発は、電気回路や伝送線路などのハードウェアの知識と、プログラム作成のためのソフトウェアの知識の両方が求められる仕事内容です。


次に、業務の一日の流れを紹介します。
始業時間は8:45ですが、フレックスタイム制なので、私は9:00頃に出社することが多いです。勤務先の群馬R&Dセンタまでは車で通勤している人が多いです。私もその一人ですが、学生時代はペーパードライバーでした。会社近くの駅から通勤バスが出ているのでそれで通勤している人もいます。

出社後はメールチェックなどを済ませた後、開発業務に入ります。私の部署の場合は、基本的に、仕様検討→仕様書作成→コーディング・デバッグ→評価という流れで、開発を進めます。期間は数ヶ月から数年まで製品や対応内容によって様々です。デバッグや評価では、オシロスコープなどの計測器を使用したり、テスト・システムを実際に動かしたりします。ここがハードウェア開発部署特有の業務内容であり、ソフトウェア開発部署とは違うところです。
昼休みはだいたい同期とお昼ごはんを食べています。社員食堂で食べたり売店で買って食べたりその日の気分でいろいろです。お弁当を持ってきている人もいます。
午後は週に1回、課会議があり、その週の進捗を報告します。課会議は担当システムごとのチームの枠を超えて、困りごとを共有したり、アドバイスをしあったりする場でもあります。他にも、課内の同じシステムに関わっている人のみで行うチームミーティングがあったり、同じシステムに関わる他の部署の人たちも集まる進捗会議があったりします。会議以外の時間は、開発業務を進めます。自分でやってみてわからないことがあれば部署内外へ質問します。みなさん優しく教えてくださいます。
誰かを誘ってお茶休憩をするときもあります。社内には無料で飲めるコーヒーメーカーやドリンクバーがある休憩スペースがあります。また、社内に常勤の産業医がいらっしゃるので、体調が悪いときや悩みごとがあるときにはいつでも気軽に相談できます。
帰る前にはその日やったことをメモして、忙しくなければ18:00頃に退勤します。定時は17:30です。忙しくて遅くなるときもありますが、どんなに遅くても21:30頃には退勤します。
一方、休日は家でゆっくりしてしまうこともありますが、ほとんどはアクティブに動き回っています。私はお笑いが好きなので、お笑いライブを見に都内へ行くこともあります。舞浜の某有名テーマパークも好きなので年に何回か遊びに行っています。勤務先である群馬R&Dセンタは群馬とはいえ目の前は埼玉県です。勤務先が都内へ日帰りできる距離であることは、私にとって入社を決めた理由の1つでした(笑)同期たちとは仲が良く、泊りがけの旅行に行ったり、釣りに行ったり、ゴルフをしたり、かなりエンジョイしている方だと思います。

雪山へも都内や舞浜へも日帰りで行けます。
グローバル企業として
アドバンテストは日本(群馬R&Dセンタ)とドイツ(BöblingenとAmerang)にテスト・システムの開発拠点があります。半導体製造装置メーカーで主力製品の開発を海外と日本で共に担っている企業は珍しいのではないかと思います。私の場合、今現在は担当システムが異なるため、ドイツと連携することはほとんどありませんが、他部署には、ドイツのメンバーと一緒に開発業務を行っている同期や、本人の希望を叶えてドイツに駐在している同期もいます。開発以外の部署でもアメリカや上海に駐在している同期や後輩がいます。希望すれば若手社員でも出張や駐在するチャンスがあるので、海外にチャレンジしたい人にとっては良い環境かもしれません。私もゆくゆくは海外開発拠点と技術交流ができればと考えています。
やりがい、今後の展望
今の業務にはやりがいを感じています。アドバンテストは半導体製造装置、電気機器メーカーなので、回路設計や半田付けなどが業務のメインになるのかと思っていましたが、実際の業務ではプログラミングをすることが多く、はじめは意外に感じました。ただ、ハードウェアを動かすプログラムのため、前述の通りハードウェアとソフトウェアの両方の知識が必要であり、学ぶことはとても多いです。苦戦することも多々ありますが、その分やりがいも感じています。
入社2年目のときに新規テスト・システムの開発に初めて携わりました。仕様検討からデリバリまで1年半かかったのですが、やりきったという達成感がありました。先輩と3人のチームで喜びを分かち合えたことも大きかったです。
入社6年目になる最近では、よりアンテナを高くして、自分に向いていることは何かと考えるようになりました。開発のエキスパートになるか、業務の幅を大きく広げるか、考えながら仕事をするようになりました。今後、自分が中長期的にどうなりたいか、その結論はまだ出ていませんが、ロールモデルとして、周りから頼られている先輩が近くにいて、自分もああいう風になりたい、という思いがあります。
幸い自部署には相談できる先輩や上司がいて、同期にも何でも話せる友人がいます。今では私にも後輩ができましたので、率先して後輩の悩みを聞けるよう、声がけなど小さなことかもしれませんがコミュニケーションを心掛けています。
これから社会へはばたく学生のみなさまへ
私もそうでしたが、就職活動中はいろいろ悩むことが多いと思います。そんなときは一人で考え込まずに、友達や家族、教授など、周りの人にどんどん頼っていいと思います。新卒応援ハローワークの利用もおすすめです。エントリーシートの添削や面接練習など様々なサポートを無料で受けられます。人と会話をすることで気分が晴れるとともに、自分の考えが整理できて新しい気持ちで就職活動に臨めるのではないかなと思います。また、少しでも興味がある企業は自分で徹底的に調べてみて、実際にエントリーしてみることも重要だと思います。いろいろな人に相談したり、自身の視野を広げたり、このような就職活動での経験は、会社に入ってからも役に立つことが多いと感じます。
現在、半導体業界は、私が入社した頃とは比べものにならないほど注目度が上がっています。新聞記事やニュースで取り上げられることが増え、情報はたくさんあるので、業界・企業研究を大いにしていただき、半導体業界やアドバンテストに興味を持ってくれたらぜひチャレンジしてみてください。