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東京エレクトロンFE 株式会社
(2020.2)
YKFE 部 SPS グループ 寺井 啓
これから社会人を迎える皆さまこんにちは、寺井 啓と申します。まず簡単に自己紹介をさせてください。私は大学、大学院では機械工学を専攻。アルバイトはピザ屋さん。テニス、バスケ、マラソンなどスポーツに加えて長期休暇は大半を海外一人旅で過ごしました。全力で学び、遊んだ学生生活を送った後、2017年4月に東京エレクトロン(株)に入社しました。
この業界に入ったきっかけ、動機
そんな私が就職活動をする際、まず考えたのは就職活動の軸をどうするかでした。そして二つの軸を見つけました。
一つ目は、「海外で働きたい」です。理由は在学中に30ヵ国以上の国を訪れましたが、住んだことがなかったことと、異文化に触れる楽しさを知ったからです。
二つ目は「さまざまなモノに幅広く使用されるものづくりがしたい」です。理由は仕事にするなら最終製品よりも部品系の方がさまざまな製品に使われるので技術的に大事だと感じたことと、流行り廃りが起きにくく安定しやすいと感じたからです。
この二つの軸から、海外で働く機会が多そうなB to Bの会社を志望していました。そして部品メーカーを中心に就職活動をしていた時に出会ったのが東京エレクトロンでした。
そこで部品(半導体)をつくるための装置という業種があることを知り、「B to Bの会社に製品を売る、つまりB to B to Bなのか?」「さらに技術の根幹を支えているのはこういった会社なのか?」と思い、惹かれました。またフィールドエンジニア(FE)という職種もこの時に知りました。理系職種ではありますが、文系職の要素もあり、海外駐在のチャンスも非常に多いと聞き、文系職にも興味があった僕にはぴったりな職種だと思ったことと、選考を受ける中で出会った社員の雰囲気の良さ、大企業なのに物腰が柔らかい姿勢に魅力に感じ、入社を決めました。
仕事内容、働き方、日常の出来事
現在3年目になりますが、入社後研修を経た後、希望通り配属され洗浄装置のFEとして業務にあたっています。仕事内容はお客さまの工場に駐在し、納められている装置のサポートをおこなっています。
配属当初は50枚のウェーハを同時処理できるバッチ式洗浄装置の担当になり、お客さまに納入された新仕様の評価機を担当しました。評価機というのは、まだお客さまに量産で使われるか分からない装置を貸与という形で納入し、実際に現地でお客さまの要求に沿った性能を出せるのかをさまざまな条件で検証し、量産に使用できるのかを判断いただくための装置です。対象のお客さまの工場では初めての使用となるため、未知のトラブルが次々と発生するFE業務の中でも少し特殊で難しいのが評価機です。新人でいきなり一番難易度の高い評価機を扱うチームの一員になり、とても大変な思いをしました。右も左も分からない状態で、聞いたことのない専門用語が飛び交う中、先輩や上司に助けられながらでしたが必死に食らいつきました。
その結果、評価機で得られたプロセスが量産に適用され、次に量産機の担当になりました。量産機では、装置トラブルが発生した場合、現場に行って解決します。現場で対応できることも多いですが、時には装置に新たな不具合が見つかるという重大なトラブルも発生します。そうなると現場では解決できないので、自社の工場担当者やお客さまと協力して対策案を作成し、解決に導きます。
また装置のメンテナンスも非常に大事になります。半導体工場は24時間稼働しているので、納入された装置はどんどん消耗されます。さらに装置は一台一台が非常に高額なので、少しでも長く装置が使用できるように、また消耗が原因のトラブルを未然に防ぐため、消耗パーツの交換やグリスアップをおこないます。
一方プライベートでは、学生時代と同様によく旅行に出かけています。変わったことは、大型連休(2ヵ月等)が取れなくなったため、3連休などを利用し国内旅行に行き、温泉や食事を満喫しています。学生時代は極限の貧乏旅行を楽しんでいましたが、働き始めるとかなりの予算を組めるので、贅沢な旅行の良さも知ることができました。また、毎年夏休みには1週間お休みをいただいて9日間をフルに使って海外旅行も楽しんでいます。
仕事のやりがい、また厳しさについて
FEという職種で、最もやりがいを感じられるのは装置トラブルが無事に解決した時です。装置にトラブルが起きてダウン状態になると、お客さまの生産計画が滞り、生産量が落ちてしまうので非常に困ります。当社としても一刻も早く生産が再開できる状態にしないとお客さまからの信頼を失ってしまい、今後新たな装置を買っていただけなくなります。そんな中、現場に急行し無事に復旧できた時はやはりやりがいを感じます。
もう一つは、重大な装置不具合が解決できた時です。トラブル対応をしていく中で、開発段階では気付けなかった不具合が、お客さまの工場に納入し何年も使用した後に表面化することがあります。特定のお客さまの工場でのみ発生するものもあれば全世界のお客さまの工場で共通で発生するトラブルもあり、大きなトラブルであればあるほどお客さまには多大なご迷惑をおかけしてしまいますが、FE、工場、営業が一体となって解決法を模索し対策案が展開され、解決できた時もやりがいを感じられます。FE はこういった数あるトラブルを乗り越えていくことで、技術者としての知見を深め、装置が少しずつ良いものになっていくところを最前線で体感できます。
逆に厳しい点は、装置トラブルが解決できない時です。電話でトラブル連絡を受け、現場に行っても原因が特定できない、または非常に時間がかかる場合があります。お客さまの工場は24時間稼働なので、定時は基本的に関係ありません。
生産が逼迫しているときはなおさら1日、2日の停止が大きな問題になります。そんな中でトラブルが発生し対応することになると、一刻も早く装置が使えるようにしなければならないというプレッシャーを抱えながらの業務となり、遅い時は日を跨ぐこともあります。また、重大トラブルの場合は長期で装置がダウンすることもあり、原因の究明や対策の立案、パーツ手配等を急ピッチでおこない、装置の早期復旧が求められます。
FEという職種の性質上、常に装置トラブルと向き合っているので、お客さまにご迷惑をおかけしている状態が多くなります。非常にタフな仕事ではありますが、タフであればあるほど乗り越えた時の達成感、やりがいを感じられる仕事だと思います。
その他、この業界に入ってよかったこと、学生へのアピール、抱負等
先日、こんな記事を読みました。要約すると「大学生が就職したい会社と社会人が転職したい会社には大きな違いがある。大学生は誰もが知っているような有名企業を選び、社会人は将来性があり、業績が伸びている会社、自分の市場価値を上げることができる会社を選ぶ傾向にある」。半導体製造装置という業界は非常にニッチで、学生の方からするとあまり聞いたこともないかもしれません。私たちの製品も、セキュリティが非常に厳しい半導体工場の中にしかないので、普通に生活をしていて目にすることはまずありません。しかし、IoT時代を迎え、ビッグデータやAIが普及しますます加速するデータ社会において、そのIoT技術やAI技術や支えるのが半導体であり半導体製造装置です。広く名前を知られている企業が集まる業界ではないかもしれませんが、未来の技術を根幹から支えている業界です。今後も5Gを始めデータ数の劇的な増大、高速化に伴い市場も中長期的に成長が続くことが予想されており、最も元気がある業界の一つでもあります。私自身もこの業界、会社が成長していく中に身を置き、共に技術者として成長していこうという思いで業務にあたっています。
また、半導体業界は海外勢が非常に強く、それに伴い当社の海外売上比率も80%を超えるほどになっているので、グローバルで仕事をする機会にも恵まれています。
最後になりますが、私自身グローバルで活躍できる人材になりたいという思いで入社したこともあり、現在はそのための技術を身に付ける準備段階だと思っています。遠からず海外駐在のチャンスも来ると思っているので、それまでに日本でどれだけ技術力を身に付けられるのかを常に意識しながら、これからも前向きに業務に向き合いたいと思います。