廃棄物枠組指令(SCIP)FAQ
廃棄物枠組指令の正式名称は何ですか?
-
Waste Framework Directive((EU)2018/851)であり、WFDと略されています。
EUでは、どのような法体系となりますか?
-
EUでの「規則」はEU域内すべての国において効力を持つため、各国で国内法を必要としません。一方、「指令」は各国で国内法を制定する必要があります。
REACH規則はEU域内のすべての国で同じ規制を受けますが、廃棄物枠組指令はEU域内各国で法律が整備されています。
成形品供給者の要求事項は何ですか?
-
成形品供給者は、REACH規則第33条で定められている成形品中の対象物質を2021年1月5日以降、ECHA(欧州化学品庁)が、整備するSCIPデータベースを介して提出する必要があります(第9条1項(i))
廃棄物枠組指令の対象となる物質は何ですか?
-
REACH規則におけるCandidate ListにあるSVHC(高懸念物質)を0.1重量%を超えて含有する成形品が対象となります。
SVHCは年々追加されますので、最新のSVHCを確認願います。
SCIPデータベースとは何ですか?
-
SCIP(Substances of Concern In articles as such or in complex objects (Products))は、成型品そのものや、複合体(製品)中の成形品中に含まれるSVHCを登録するデータベースです。このデータベースは、ECHAが成形品中のSVHC情報を登録するために策定しました。
SCIPデータベースの目的は何ですか?
-
廃棄物処理業者へSVHC情報を提供し、廃棄物を安全且つ適切に処理し、作業者を保護することを目的としています。
成形品供給者から登録されたSVHC情報を、廃棄物処理業者と消費者が参照できます。
また成形品に含まれる有害物質の使用を監視し、代替を促進、有害物質が削減されることを期待しています。
SCIPデータベースによりECHAへ情報を提供する対象者は誰ですか?
-
EU域内の生産者及び組立業者、輸入業者、成形品の流通業者、成形品を上市するその他の従事者等の、成形品の供給者が情報提供の対象になります。
2021年1月5日以降、EU域内の成形品供給者は、成形品にSVHCが重量比0.1%を超えて含まれる場合には、ECHAのSCIPデータベースに情報を提供する義務があります。
EU域外から製品を提供する事業者は登録義務を負いますか?
-
SCIP通知義務の対象事業者は、EU域内の製造業者、組立業者、輸入業者等のため、EU域外の事業者には直接的な登録義務はありませんが、製品の提供者として、EU域内の事業者へ情報を提供する必要があります。
EU域外の成形品供給者も EU域内の成形品供給者とSCIP情報の登録業務を代行する契約を交わすことにより登録可能となります。
登録対象となる成形品は何ですか?
-
EU域内に上市される成形品であり、EU域内での生産品、EU域内への輸入品となります。なお、SVHCが重量比0.1%以下の物は登録対象外となります。
成形品供給者が通知する必要な情報は何ですか?
-
成形品供給者がSCIPデータベースに通知(登録)する内容は以下になります。
1.成形品の識別ができる情報:
成形品の名称(Article name)、その他の名称(Other name)、識別子(Primary article identifier)、その他の識別子(Other identifier)、成形品カテゴリー(Article category)、EU域内製造(Production in the EU)、画像(Picture)、特性タイプ・値および単位(Characteristic type、Value、Unit)、成形品のリンク(Article Link to (single) article)
2.成形品に含まれる有害物質:
SVHC物質リストのバージョン(Candidate list version)、 SVHC物質情報(Candidate list substance)、物質名称(Substance name)、EC番号(EC number)、CAS登録番号(CAS RN)、含有濃度範囲(Concentration range)、材質カテゴリー(Material category)、追加の材料特性(Additional material characteristic)
3.成形品の使用・廃棄方法:安全使用情報(Safe use instructions)、廃棄時の適切な管理を確実にする情報<分解指示>(Disassembling instructions)
※ 太字は必須項目
データベースへの通知方法を教えてください。
-
物質の含有情報をデータベースに入力します。
SCIPデータベースは、EU域内の義務者またはその義務者が同意のもとで製造者や第3者が物質の含有情報登録を実施します。
データの登録方法については ECHAホームページを参照してください。
IUCLIDとは何ですか?
-
International Uniform Chemical Information Databaseの略で、国際統一化学情報データベースであり、ECHAが開発したソフトウェアとなります。SCIP通知に関連する認可候補物質情報など、SCIPデータベースへの登録に必要な情報の入手や、SCIPデータベースそのものへの登録に使用できます。
Article as such やComplex Objectsとは何ですか?
-
Article as suchは成形品そのものであり、Complex Objectsは複合体となります。複合体の構成部品は、成形品そのものであるか、または複数の成形品から構成される複合体になります。
本指令における成形品は、Article as suchおよびComplex Objectsにて構成されています。
罰則はありますか?
-
廃棄物枠組指令は『指令』であるため、EU域内は廃棄物枠組指令を国内法に転換して、規制をします。よって罰則は、EU域内がそれぞれの国内法で規定します。
半導体製造装置のような複雑な構成の成形品は、どのような階層で登録すればよいですか?
-
ECHAが2020年10月に発行した"Requirements for SCIP notifications"の3.2で、Complex Objectsをいくつの階層で報告するか、解説があります。
具体的な階層数について示されてはいないですが、SCIPデータベースを利用する人が、SVHCを含有している成形品の位置が特定できるような情報が必要と考えます。